実践グローバルリーダーシップ(松行 輝昌)

リーダーシップとは何でしょうか。この授業では、様々な分野でリーダーシップを発揮されてきた方々の話を聴くとともに、授業の企画・運営に携わることによって、リーダーシップを実践的に習得します。日本ではまだまだ浸透していないアメリカ式のリーダーシップ、それに伴うフォロワーシップが何かを理解することも行われます。多様かつ一流のリーダーシップに触れ、実践する「実践グローバルリーダーシップ」の授業を取材してきました。

基礎情報

出席人数
46
授業形式
講義, グループワーク, リーディング課題, ディベート
クリックすると、同種の授業形式の授業一覧が表示されます
テーマの例
コロンビア大学名誉教授カーティス教授の講義とそれに基づいたディスカッション
シラバス

教員の準備・工夫

授業の内容と進行

カーティス教授がいる提携先のパソナ(株)の東京会場と大阪大学がリアルタイムでつなげられ、講義および質疑応答が行われました。取材時の授業は、英語の講義を理解すること、質疑応答にて1人1回挙手すること、世界で活躍する本物のリーダーからグローバルリーダーシップを学ぶことを目標として実施されました。授業の最後に、学生自身による振り返りと先生からのアドバイスの時間が与えられました。

配布資料

3枚(レジュメ、当日のタイムテーブル、今後の予定表)。

教員の工夫

初回授業時に授業の概要を把握するよう、ハーバード大学のロナルド・ハイフェッツ氏によるリーダーシップ理論の重要な点をまとめた共通テキストが配布されます。授業準備や授業が円滑に進むようメーリングリストが使用されるため、第2回の授業ではメールの書き方に関する講義が行われます。合宿を行い、教員や学生同士の交流を深めるとともに、より積極的な授業への参加が促されます。

毎回の授業では、去年度の受講生がSAとして配置されており、学生への助言が適宜行われます。毎回の授業の終わりには振り返りの時間が設定され、改善点が提示されたうえで「なぜうまくできなかったのか」「どうすれば今後うまくいくのか」を考える時間が与えられます。学生が失敗しても教員がすぐにフォローに回れるよう、学生や外部講師とは頻繁に連絡を取り合っているそうです。

 この授業は、学生自身によって運営されます。具体的には、ファシリテーター(司会)、ファーストスピーカー(1人目の質問者)などの役割はすべて学生により担われます。日本の「アクティブラーニング」はまだまだ「アクティブ」にとどまっている一方、この授業で見られたアメリカ式のリーダーシップでは、学生が「コア」を担っていました。

また、学部生、高校生、院生に加え、連携企業の社員20名ほどが同様の講義を聞きに来場していました。日本ではあまり見られない形式の授業で、学生は戸惑う場面もあったかもしれませんが、やる気に満ち溢れていました。

学生の行動

事前課題(予習課題)

事前資料の読み込み、その日の役職にあたっている人は予定表の作成など。ディスカッションポイントについて考えてくる。

事後課題(復習課題)

振り返りシートを記入。

学生の様子

授業開始前から、担当の学生を中心に1人1人の意欲が高く、様々な立場を超えてチームとしてまとまっていました。講義が始まると、ほとんどの学生が集中して聞いており、またその多くがメモを取りながら話を聞いていました。講義後のディスカッションでは質問があまり出なかったり、認識のずれなど上手くいっていない様子が目立ちました。その後の振り返りの際、なぜ質問が少なかったのかについて、活発な意見交流が行われていました。

 通常、いわゆる「アクティブラーニング」と呼ばれる授業では、教員が授業を運営し、その中の一部の時間で学生がディスカッションする形式が多くみられます。しかし、この授業では最初から学生が運営を担当して役割を果たす中で、リーダーシップを体得していく様子でした。外部講師との連絡も学生自身が行うらしく、どの学生も与えられた役割を果たそうと熱心に参加していました。講義を終えた後、すぐに振り返り、自分を客観的に分析させていました。受講生数名にお話を伺ったところ、主体的に授業運営を行う中で自分の強みや弱みを客観的に把握する能力がついてきたと話していました。