大阪大学リーダーズ・アカデミー(佐藤 浩章)
「リーダーシップ」には、政治学・心理学・経営学・教育学の背景を持つきちんとした理論があります。リーダーシップの理論や学問を学び、2030年に求められるリーダーシップとは何かという問いに答える授業です。「大阪大学リーダーズ・アカデミー」の様子をレポートします。
基礎情報
教員の準備・工夫
授業の内容と進行
セミナー、質疑応答、セミナーへのフィードバックという順で進められました。教室の四面にパワーポイントが映し出されていて、残り時間がわかるようになっていました。
配布資料
各グループのセミナーにより、学生が作成した資料、評価シートが配られる。
教員の工夫
毎回作成される授業計画書が教員・SAで共有されるなど、授業の「デザイン」が重視されています。レクチャーは短め(15分以内)とし、ディスカッションやグループワークが中心となります。グループワークでは、問いの立て方とグループの構成に工夫が凝らされています。まず、問いとしてふさわしいのは、知的好奇心を与え、思考をアクティブにするような問いです。調べ学習ではなく探求型授業を目指しているので、調べればわかる・教員が答えを知っているような問いでは意味がないとのことです。過去の理論と自分の経験を結びつけ、本やレクチャーで過去・現在を学んだ後、自ら知識創造する授業設計が行われています。グループの組み方は、補完型になるように配慮されています。学生にも、リーダータイプの人、プレゼンが得意な人、書くのが得意な人など、様々なタイプがいるので、いろんなタイプの学生同士があつまることでパフォーマンスが最大になるよう工夫されています。
プレゼンテーションではなく、25分間のセミナーを行ってもらうところに特徴がありました。ただの発表ではなく、セミナーを通して学生が変わることを目標としているとのことです。今回はセミナー1回目で、実は2回目があります。1回目のこの回は失敗してもOKで、むしろ失敗によって学生が自ら気づくことが目的です。
学生の行動
事前課題(予習課題)
グループごとにセミナーの準備(3週間)。
事後課題(復習課題)
今回のグループセミナーの評価をもとに、2回目のセミナーの準備をする。
学生の様子
今回は「リーダーに必要なチカラとそのトレーニング」というテーマでセミナーが行われ、学生が考えたトレーニングが発表されました。トレーニングは盛り上がるものもあればそうでもないものもありましたが、学生自身が発表を楽しもうとしていることは伝わってきました。発表に向けて、担当の学生グループはしっかり準備していました。学生があだ名で呼び合うなど、全体的に和んだ雰囲気でしたが、その一方でメリハリがあり、グループとしての一体感がありました。
学生自身がセミナーをつくり運営するという形式で、授業の進行は学生により自主的に行われました。セミナーでは通常のプレゼンテーションとは異なり、リスナーの協力(アクション)も求められていました。授業におけるアクティブラーニングでも、アクティブしている側(発表者)の一方的なアクションになりがちです。しかし、リスナーの「アクティブなリアクション」を引き出すことも、アクティブラーニングに重要な要素だと感じる授業でした。