量子力学の不思議な世界(清水 克哉)

物事や現象の根底には、量子力学があります。量子力学と聞くと取っつきにくそうだと感じる人もいるかもしれませんが、この授業では、専門分野によらず参加できるように、受講生に応じて難易度が調整されています。授業を通して、量子力学に対して興味を持っている学生たちの知的好奇心を満足させることが目標です。授業は理論と実験の2部分に分けられ、それぞれ違う教員が担当します。

物理現象を実際に見る体験を通して、一見難解に見える学問を身近に感じ、好奇心をかき立てる授業。「量子力学の不思議な世界」の授業に潜入し、担当の先生にお話を伺いました。

基礎情報

出席人数
10
授業形式
講義 グループワーク 実験
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テーマの例
「酸素が超伝導になる?」というテーマで、圧力をかけて酸素が超伝導になることを体感する。
超伝導は特定なものを非常に低い温度へ冷却した時に、電気抵抗が急にゼロになる現象である。酸素は条件が厳しいので、今回の授業は水を使用している。実験はある装置を利用して、水を加圧すれば、氷になる。この水から氷までに変わる現象を見られれば、実験は成功。
シラバス

教員の準備・工夫

授業の内容と進行

最初に20分程度の講義が行われます。深海の圧力についてと地球の中心の圧力についてなど、関連知識も補足されます。講義の後は実験です。実験はクラスを半分に分け、5人ずつのグループで行われます。片方のグループが実験を行い、もう一方のグループの学生はその様子を見ながら、色々な意見を交換します。

教員の工夫

今年は理系の学生だけですが、文系の学生や高校生を受け入れているときは少しわかりやすく説明しているそうです。しかし、理系の学生も量子力学についての専門知識はないのであまり差はないと言います。授業の定員は10人ですが、なるべく文系や医学部、歯学部などの違う専門分野の人が混在するように配慮されています。実験を通じて現象を体感してもらうのが目的なので、細かい理論はほとんど説明されません。専門用語を使うときはわかりやすい説明を加えるなど、様々な分野の学生がすべて一緒に楽しんで実験を体験できるよう配慮されています。

 今回は非常に小さな実験器具が登場したので、器具の説明のために模型が使われていました。模型により、実験中何が起こっているのかがわかりやすく説明されていました。今回のテーマは、水を加圧すれば氷になり、氷を減圧すれば水に戻る、という現象ですが、その現象を観察することや、加圧している時の力加減のコントロールはとても難しいそうです。

学生の行動

事前課題(予習課題)

自分でテーマについて調べることを推奨

事後課題(復習課題)

リレー講義のため、先生によってはレポートを出すときもある

学生の様子

講義の時点から最後まで、全員が顔を上げてしっかり聞いている様子でした。実験の時も学生はみな集中しており、特に実験器具を扱っている学生は緊張感を持って取り組んでいました。

 実験では、非常に極端な状況を作って現象を起こしています。極端な状況は物質科学の世界では普通に起こる状況であり、極端な状況で起こることが宇宙全体でも成り立ちます。極端条件の下で起こす現象の実験を通して、私たちが生活している地球は色々な極端な状況があり、それによって現在の生活環境が成り立つことを学生たちに伝えたい、そして様々な現象の可能性を学生と一緒にをさがしたい、そんな思いのもとで行なわれている授業でした。