子どもの現在(岡部 美香)

学生たちが既に持っている「子ども」についての考えは、自分の実体験によるもので構成されている場合が大半です。そのことを認識してもらい、授業を通して幅広い知識や考えに触れて考えることで、自身の子ども観を相対化する授業です。「子どもの現在」の授業に潜入取材してきました。

基礎情報

出席人数(取材当日)
8
授業形式
プレゼンテーション, ディベート
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テーマの例
最後に全員に課したプレゼンの後半の回(前回で受講者の半分の4人のプレゼンが終わっている。)
シラバス

教員の準備・工夫

授業の内容と進行

学生によるプレゼンテーション、質疑応答、プレゼン後の教員によるフィードバックという順番で進められました。

配布資料

授業に必要なプリントを適宜配布

教員の工夫

この授業は6人の教員が各々の専門から「子ども」について話すオムニバス形式で行われます。扱う題材は各教員によりますが、授業を聴くだけでなく、プレゼンやレポート課題を課し、アカデミック的なそれぞれのスタンスを学ぶ機会を設けられています。授業の前半と後半に1回ずつレポートを、最後の2回の授業でプレゼンテーションを行い、自身の経験していないことについて調べる機会が設定されています。必ず客観的根拠となる資料を調べて用いさせることで、論理的に語る第一歩を促すと共に、後の研究時に役立つ力を培うことにもつながります。

 プレゼンテーションの一つの目標は、「質問したくなること」。聞いている人に、如何に興味を持ってもらうか、如何に疑問を抱いてもらうか、といった点も重視されています。

プレゼンテーション後の教員からのフィードバックは、そのプレゼンの内容面のみならず、プレゼンスライドの作り方や、資料参照の仕方、その資料の選び方など、「プレゼンの構造」についてまで及んでいました。また、「研究とは調べるものの本質構造を見抜くことが大切であり、用いる資料が代用本か否かまでも吟味することが重要」「問い、根拠、結論の関連付け方を大切にし、データはなるべく過去まで遡り、全体的な関係を掴むことが重要」といった将来の研究につながる指摘もありました。

学生の行動

事前課題(予習課題)

プレゼンの準備

事後課題(復習課題)

教員からのレポートのフィードバック

学生の様子

発表者はそれぞれ独自のプレゼンテーマを探し出し、いくつもの文献を参考にしながら必要な客観的根拠を提示していました。教員に発表外の内容について質問されたときも、ある程度は的確な回答ができており、発表テーマについて深く調べていることが伺えました。質疑応答で答えられない時には、調べ切れていなかったと正直に述べており、足りない点を正確に把握できた様子でした。

聴衆もメモを取りながら熱心に聞いており、プレゼンテーターに対して積極的に質問をしていました。プレゼン後の教員によるフィードバックも自分のことのように真剣に聞いていました。

高校生も参加していましたが、大学生に劣らないほど十分に調べ、参考文献の記載などプレゼンテーションのマナーに則って、堂々と発表していました。皆、仲が良さそうな印象でした。大学生の参加者は、高校生をよく気遣っており、心なしか積極的に授業に参加しているように見えました。大学生の受講者も、高校生の受講者も、そして教員も、一人前として、質疑応答や、意見交流を行っていた点が印象的でした。