ビブリオバトル入門 (中村征樹)

5分間で本を紹介し、最後にどの本が一番読みたくなったかを投票し勝者を決める「ビブリオバトル」を取り入れ、楽しみながらプレゼン力や伝える技術を磨いてもらう授業です。テーマによる縛りやほかの人の発表によって、普段自分が読まないような分野の本に関心をもってもらうとともに、人前で発表をする経験を重ね、どのようにすれば伝えたいことをうまく伝えられるかを学生が主体的に学ぶことを目的としています。

テーマを適切に設定することによって、これまでに触れる機会の少なかった学問分野に興味を抱くことができる設計になっています。ゲーム形式で様々な学問に触れ、「学問への扉」のテーマである「どの学問も、オモロイ!」を体験できる授業です。

ある日の「ビブリオバトル入門」の授業に潜入した学生からの情報をもとに、この授業をご紹介します。

基礎情報

出席人数(取材当日)
13
授業形式
グループワーク プレゼンテーション
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テーマの例
文理逆転(文系の人は理系分野の、理系の人は文系分野の本を紹介する)
シラバス

教員の準備・工夫

授業の内容と進行

7人程度の発表者が5分間の発表+3分間の質疑応答タイムをもち、最後にどの本が一番読みたくなったかを投票し勝者を決める、「ビブリオバトル」を行います。全発表の終了後には、各テーブル(1テーブル3~4人)で感想などを自由に話し合う時間が設けられます。

教員の工夫

新たな分野の本と出会えるよう、紹介する本に条件が設けられます。各学生には4回発表の機会があり、1回目:自由に、2回目:文理逆転、3回目:古典の本(1945年より前の本)、4回目:一番薦めたい本となっています。臨場感を出し、また楽しませるため、原稿を持参することは禁止されています。タイムマネジメント力やアドリブ力をつけさせるために、発表時間の5分は何があっても短くも長くもしません。

円滑に授業を進めるために、去年度の受講生がSAとして配置されています。SAが入ることで展開が非常にスムーズになるとともに、歳の近いSAがグループでの振り返りに参加することで、生徒同士が仲良くなり、リラックスした雰囲気がうみだされます。

個人での振り返りがしやすいように、動画やブログなどのwebコンテンツ、ポートフォリオシートが利用されています。

 授業終わりの振り返りの時間には、学生同士で「あの本はおもしろそうだ」などの感想などを言い合っており、活発な交流が見られました。先生からは特にアドバイス等はないため、発表者が聴衆をひきつける工夫やどうすればうまく伝えられるかなどは、学生が主体的に考えていました。SAが授業の進行をしているのは、「SAが言ったほうが学生に響くから」だそうです。

学生の行動

事前課題(予習課題)

発表者は発表準備をする。紹介する本を読んで、プレゼンする内容を考える。ただし原稿を作ってそれを見ながら発表をしてはいけない。

事後課題(復習課題)

送られる自分の発表動画を見て振り返りを行う。

学生の様子

プレゼン中、聴衆はしっかりと発表者に視線を送っており、中には大きくうなづきながら発表を聞いている生徒もいました。リラックスした雰囲気で、発表者の投げかけをうけて笑ったりもしていました。質疑応答の時間ではどの発表でも活発に3~4個の質問が出ており、聴衆のうち半分ほどが積極的に質問を行っていました。50分を超えると集中がきれる生徒も数名みられましたが、全体として、聞いている学生はうなずいたり、笑ったりとリアクションをとっていて、また楽しそうに授業を受けていました。

 5分という時間は発表者にとってはしっかりと準備をしなければ埋められない時間である一方、聴衆にとっては1つの発表を集中して聞くことができるちょうどよい時間でした。また、質疑応答の3分も聴衆の質問にすべて答えることができ、さらに最後の30秒ほどはどの発表でも質問が出尽くし空白の時間となっていたので、発表者がそこの時間をしゃべって埋めようとすることでアドリブ力も磨かれていました。発表も質問もいずれも学生の純粋な興味から生まれているので、自由で楽しそうでした。