第12号 人生クイズの答え

もんだい

青年期に比べて、高年期では「人生の意味」を感じる度合いは高いでしょうか?低いでしょうか?

(教育学習支援部 准教授 浦田悠)

こたえ

'meaning of life'をキーワードとしてDALL·E 3で生成した画像
"meaning of life"をキーワードとしてDALL·E 3で生成した画像

高年期の方が高い。

人生の意味を測定するための心理尺度はたくさん開発されていますが、現在もっともよく使われている尺度の1つが、コロラド州立大学のスティーガーら (Steger et al., 2006) によって開発された「人生の意味」尺度 (MLQ) です。この尺度では、人生の意味を「どのくらい理解しているか」という保有の側面と、「どのくらい理解に向けた努力をしているか」という探究の側面の度合いを測定することができます。日本語版MLQの項目は 島井他 (2019) の論文の末尾に掲載されており、保有得点と探究得点を算出することができます。項目1・4・5・6・9が保有の項目、項目2・3・7・8・10が探究の項目で、項目9のみ、7点→1点、6点→2点・・・1点→7点というように得点を逆転させて計算します。論文には各年代の平均値等も載っていますので、よければみなさんも一度自分の人生の意味を測定してみていただければと思います。

これまでの研究によると、保有については、一般に青年期よりも高年期の方が高い傾向が見出されています。私も独自に作成した尺度で検討しましたが、同様に高年期では高い傾向がありました(浦田, 2013)。一方、探究については、海外の先行研究では青年期が他の年代よりも高い傾向がありますが、日本では、青年期や成人期よりも高年期が高い結果が見られています。この理由はよく分かっていませんが、日本の高年期では、人生経験が豊富になることに伴って、意味への問いが深まるとともに、人生の「味わい」も増すのかもしれません。

引用文献

島井 哲志・有光 興記・Steger, M. F. (2019). 日本人成人の発達段階による人生の意味の変化 健康心理学研究,32(1),1-11.
Steger, M. F., Frazier, A., Oishi, S., & Kaler, M. (2006). The Meaning in Life Questionnaire: Assessing the presence of and search for meaning in life. Journal of Counseling Psychology, 53, 80-93.
浦田 悠 (2013). 人生の意味の心理学——実存的な問いを生むこころ—— 京都大学学術出版会