第11号 健康クイズの答え

もんだい

健康づくりのためには運動は必須です。しかしながら、勉強や仕事などで、まとまった運動時間が十分確保できないという方も多いかと思います。もしかすると「1回の運動である程度の時間運動しないと体力向上や脂肪燃焼には効果がない」ということも聞いたことがあるかもしれません。それでは、①まとまった時間で運動する場合と、②隙間時間でこつこつ運動する(小分け運動)場合では、運動による健康増進効果(体力向上・減量)はどちらが良いのでしょうか。

(全学教育推進機構スポーツ・健康教育部門 講師 小見山 高明)

こたえ

正解は、「まとまった時間で運動する場合と小分け運動の場合でも、健康増進効果は同等に得られる。」です。

肥満傾向の大学生48名に対して、1日の中での1回の運動時間を変えた3つのグループに分けて、中等度の運動のきつさで12週間トレーニング(1週間に5回)を行いました。グループ①は1日1セット(30分×1セット=30分)、グループ②は1日2セット(15分×2セット=30分)、グループ③は1日3セット(10分×セット=30分)で合計の運動時間や運動のきつさは3つのグループで全く同じになっています。1日の中で複数回運動するグループではセット間で少なくとも4時間間隔を設けて運動を行いました。

3つのグループのトレーニング前後の体力レベル(最大酸素摂取量)や体重の変化を比較すると、どのグループでも体力レベルの向上や体重の減少がみられ、これらの体力の向上や体重の減少の程度はすべてのグループ間で差はありませんでした()。


図1. 1回の運動時間を変えた場合のトレーニング効果の比較 (参考文献[1])

図1. 1回の運動時間を変えた場合のトレーニング効果の比較 (参考文献[1])

これらの結果は、まとまった時間で運動せずとも、小分け運動でも同様に体力向上や体重減少などの効果は同じことを意味しています。そのため、例えばまとまった時間がない人は、出勤や通学、家事・授業の手が空いている合間に少し運動する、体力に自信がない人は、休憩を挟みながら運動するといった、個人のライフスタイルや体力レベルに応じて運動する方法を工夫することも可能です。自分にあった取り組み方で運動することで、運動習慣も身に付きやすくなります。運動不足に悩んでいる方、運動をしたいけど時間がない方はぜひ小分け運動を取り入れてみて下さい。今後は体力向上やダイエットに効率的な運動などを紹介していきたいと考えています。

References

[1] Effects of long versus short bout exercise on fitness and wegiht loss in overweight femeles. Schmidt WD, Biwer CJ, Kalscheuer LK. J Am Coll Nutr. 2001 Oct;20(5):494-501. doi: 10.1080/07315724.2001.10719058.