第5号 教えて先生!クイズ

もんだい

5年ほど前にオックスフォード大学の研究者が発表した論文をきっかけとして、「コンピューターやAI(人工知能)の発達によって10~20年以内に今ある職業の多くが消えてなくなる」といった衝撃的なニュースが話題になったことがありました。2020年「なくなる仕事」リストを掲載した週刊誌もありました。ところで、世の中に「職業」って何種類あるのか、ご存知ですか?

(教育学習支援部 家島明彦 講師)

こたえ

こたえはズバリ

一概には言えない

でしょう。
なぜなら職業の種類は国によっても異なるし、参照する分類表によっても異なるからです。

意地悪な質問でしたね(笑)申し訳ありません。以下に解説します。

まず「世の中」の定義によってもこたえが変わってきます。日本では総務省が「日本標準職業分類」というものを公表していますが、世界では国際労働機関(International Labour Organization、略称ILO)が「国際標準職業分類(International Standard Classification of Occupations、略称ISCO)」というものを公表しています。アメリカにはアメリカの、ヨーロッパにはヨーロッパの、職業分類があります。また、特定の国・地域にしか存在しない職業もあります。ある国では職業として認められていても、別の国では職業として認められないという場合もあります。とても複雑なんですね。

たとえ「世の中」を日本に限定したとしても、複数の職業分類が存在しているので、どれを参照するかによってもこたえが変わってきます。例えば、総務省の「日本標準職業分類」(2009年12月統計基準設定)に加えて、厚生労働省/労働政策研究・研修機構の「職業分類表」(2011年6月改訂)があります。ウェブサイトや書籍が独自に職業の種類を設定している場合もあります。さらに、これらは定期的に更新されていきます。なぜなら、時代の流れとともに職業構造が変化したり職業の種類が新たに増えたり減ったりするからです。

それでは「一概には言えない」ということを確認した上で、現代日本における職業の種類を総務省の「日本標準職業分類」(2009年基準)に基づいて解説することにしましょう。

参照 https://www.jil.go.jp/institute/seika/shokugyo/bunrui/

上の図を見てもらうと分かるように、「日本標準職業分類」(2009年基準)では、職業を「大分類」で12種類、「中分類」で74種類、「小分類」で329種類に分けています。しかし、「世界標準職業分類」では、職業を「大分類」で10種類、「亜大分類」で43種類、「中分類」で130種類、「小分類」で436種類に分けています。さらに、同じ「日本標準職業分類」でも12年前の1997年時点では、「大分類」で10種類、「亜大分類」で3種類、「中分類」で81種類、「小分類」で364種類に分けています。

このように、国や時代や参照基準によってもこたえが異なるのですが、「日本標準職業分類」(2009年基準)が使われている2019年現在では、日本において職業は約330種類くらいあると言えそうです。