博物学の世界を覗く(近藤 滋)
生物学という学問は、ナマの生物に触れることから始まりました。DNAやたんぱく質などミクロな研究が発展した今でも、ナマの生物に触れることは様々な気づきをもたらします。この授業は、ナマの生物に触れ、なぜそんなカタチをしているのか、どんな機能があるのか、なぜそのような進化を遂げたのか、根本的なマクロな部分で疑問を感じてもらう機会を提供します。ナマの生物に触れて抱いた興味に対して考察することで、生物学を学ぶ楽しさを実感してもらうことが目標です。
ミクロな視点が発達した現代だからこそ、もう一度生物学の原点に触れ、面白いと思える発見をしてほしい。「博物学の世界を覗く」の授業について、近藤先生にお話を伺いました。
基礎情報
教員の準備・工夫
少人数制を生かして、体験・経験を第一にした授業が行われます。生物を採取したり、学外の施設を訪れたり、アプリケーションを利用したり、実際に手を動かしてあれこれ考えることが主な内容です。観察する生物は、哺乳類に限らず多岐にわたります。魚類や昆虫などの採取、花の観察、バードウォッチング、博物館・水族館・恐竜の見学等も行われます。自分で見て触れることを通して、生物に対する疑問を感じ、興味を持ってもらうことがねらいです。生物を観察した後には教員が解説をしますが、この時もただ聞くだけではなく手を動かせるよう工夫がなされています。例えば、貝殻の形についての解説ではアプリケーションを用い、パラメータを動かして様々な形を見ることで、より理解が深まるように工夫されています。
興味・やる気を引き出すため、楽しんでもらうことが最も重視されています。学生に楽しませるための工夫の一つは、身近な行為、例えば「食」とつなげること。山菜取りや、手羽先の骨格標本を作る授業では、「みんなで食べる」ことも授業内容に含まれています。その他、「梅田のビルの壁で化石探しを行う」など、一見突拍子もなくて、おもしろいテーマも設定されています。
実際に生物に触れて、仕組みや素晴らしさについて感動してもらうことを目標とした授業です。生物のかたちは、様々なしくみによってできあがっています。例えば、植物にはフィボナッチ数列が深く関わっていることや、貝殻の形成のほとんどは円錐をもとにしている、など、様々な気づきが生物の理解につながります。