第3号 教えて先生!クイズ

もんだい

サクラと並んで有名な春の花、タンポポ。キク科タンポポ属の総称で、日本在来のカンサイタンポポやシロバナタンポポ、ヨーロッパからやってきたセイヨウタンポポなど、様々な種類があります。大阪大学でも、春になると黄色いタンポポの花をあちこちで見ることができます。さて、タンポポについて、次のうち正しいのはどれ?

  1. 豊中キャンパスにおいて、日本在来のタンポポは2017年時点で既に外来種により駆逐されており、見ることはできない
  2. 在来種であるカントウタンポポとカンサイタンポポは、見た目では区別がつかない
  3. タンポポの一つの花の花びらの数は10枚以下である
  4. 若葉は可食で、春の七草の「仏の座」とはタンポポのことである

こたえ

キク科の頭花

まず、タンポポの花の構造からご説明しましょう。植物学の言葉で、花の並び方のことを「花序」と呼びます。タンポポをはじめとするキク科の花序は多数の花が集まってまるで1個の花のように見える「頭状花序」です(左図)。頭状花序を構成する一つ一つの花のことを「小花」、一つの花のように見える花序のことを「頭花」とも呼びます。キク科の小花には、花弁が筒状に融合した筒状花(管状花)と舌状に広がった舌状花の2種類があります。同じキク科でも、フランスギクやヒマワリの頭花は筒状花と舌状花の両方をもつのに対し、ヤグルマギクやアザミの頭花は筒状花のみ、タンポポの頭花は舌状花のみで構成されます。

さて、問題文3番の「一つの花の花びらの数」ですが、小花の花冠は基本的に5枚の花弁が融合してできています。よって、一つの花の花弁は10枚以下です。

キク科の頭花

つづいて、日本在来種と外来種の見分け方です。頭花の下部にある総苞が区別のポイントで、セイヨウタンポポでは総苞片が図のように反っています。1番の「豊中キャンパスにおいて、日本在来のタンポポは2017年時点で既に外来種により駆逐されており、見ることはできない」の真偽については、ぜひご自身で確認してみてください。

2番に登場したカントウタンポポとカンサイタンポポなど日本在来種も、総苞で見分けられることがあります。東日本から大阪に来た方は、豊中キャンパスのタンポポを見て何となく小ぶりな印象を受けたのではないでしょうか。実際、カントウタンポポに比べて、カンサイタンポポの総苞はシュッとしています。総苞片の形が違うほか、一つ一つの小花や総苞片の大きさか、頭花当たりの個数が異なるのではないかと思います。ぜひ統計を取って、結果を教えてください。

ただし、中途半端な形態も多いため、見分けるのは中々難しい作業です。というわけで、「見た目で区別できるが、慣れないと難しい」というのが正解です。

最後に4番について。タンポポの葉は天婦羅にするとおいしいです。しかし、春の七草の「仏の座」はタンポポではなく、同じキク科のコオニタビラコ(タビラコ、田平子)を指すと言われています(諸説あります)。ちなみにホトケノザという標準和名は、シソ科の植物に使われています。ややこしいですね。