藤田和樹教授が第30回全日本パワーリフティング選手権大会で入賞しました
全学教育企画開発部スポーツ・健康教育部門の藤田和樹教授が、2025年7月19日~21日に愛媛県伊予市(ウェルピア伊予)で開催された第30回全日本パワーリフティング選手権(マスターズ クラシック部門)に出場し、93 kg級で2位に入賞しました。

藤田教授からのメッセージ
今回、2位入賞したことにより、3年連続の銀メダル獲得となりました。記録としては、昨年の485 kg(スクワット、ベンチプレス、デッドリフトの合計)に対し、今年は500 kgと15 kg記録を伸ばし、50歳以降の自己ベストを更新しました。一般的に、中年期以降、筋力は1年で1~2%くらい低下するため、私の筋力年齢は、この1年間で4~5歳若返った計算になります。年齢に抗して筋力アップした秘訣を知りたい方は下記をご参照下さい。
今年、私が取り組んだトレーニングの方法を簡単にご紹介します。近年、Velocity based training (VBT) というウエイトトレーニング中のバーベルやダンベルの挙上速度をリアルタイムに計測する方法がメジャーリーグなどプロスポーツ界で急速に普及しています。VBTでは、トレーニング中の動作速度を計測することにより、○○ kgのウエイトを○.○ m/secで何回できたかでパフォーマンスを評価します。例えば、200 kgのスクワットを挙上できる人では、100 kg (50%負荷) をゆっくりと挙上することにより筋肉量が増加しますが、筋出力への効果は期待できません。一方で、重量が同じでもウエイトを全速力で挙上することにより、筋発揮パワーや筋出力が改善されます。VBTでは、トレーニング中の挙上速度を毎回即時フィードバックすることにより、高速でウエイトを挙げ続けることが可能になり、スピード筋力や筋出力が向上します。また、VBTでは挙上速度が10~20%低下したらセットを終了するVelocity loss cutoffを行うことによって、筋肉に過度の疲労を残さずにトレーニングを行うことができます。このように、ウエイトを全速力で挙上し、速度低下が起きたらトレーニングを終了するVBTの導入により、私はこの1年でスクワットの記録を190 kgから200 kgへ、ベンチプレスを105 kgから112.5 kgへ伸ばすことができました。
ここまで読まれた方は、VBTが画期的な筋力アップの方法であることはわかったが、専用のデバイスがなければできないのではあまり役に立たないと思われているかもしれません。しかし、VBTはデバイスがなくてもできます。これまでの研究から、○○回挙上できるウエイトを全速力で挙上した時の速度は、○○回×1/2の回数で20%低下することがわかっています。例えば、10回がちょうどできるウエイトを全速力で挙上すると、5回繰り返した時点で挙上速度は20%低下するので、そこでトレーニングを終了するのです。つまり、スピードの低下が起きてもそれを無視して10回繰り返す方法(従来法)で3セット行うよりも、スピードが20%低下する5回でトレーニングを止める方法(VBT)で6セット行う方が、同じ重量を同じ回数行っても筋力の増加率はVBTで大きくなるのです。このように、VBTの出現によって、「つぶれるまで、または、つぶれる寸前まで挙上を繰り返すことによって筋力が増強する」というトレーニング界の常識は覆りました。皆さんも、ぜひ、VBTを試して、その効果を感じてみて下さい。
参考
タグ: 最新情報
