出版委員会にコンペを通過した2案が挑む!

2012年12月18日、大阪大学出版会出版委員会が開かれ、11月27日の学内コンペを通過した2案(ドーナツ班の「ドーナツを穴だけ残して食べる方法~大阪大学ドーナツ論叢」、添削班の「教授(オレ)、本気だします」)が提案されました。出版委員会では上記の2案それぞれについて以下のような様々な意見が述べられ、出版可能かどうかが議論されました。

「ドーナツを穴だけ残して食べる方法~大阪大学ドーナツ論叢」について、アイディアとしてはおもしろく、読者の目も惹くことができるだろうが、内容がおもしろくないとその後の買い手が増えることはないため、内容をさらに練る必要があるという指摘がありました。この指摘に関して、”ドーナツの穴”にこだわらずにドーナツの穴を入口として話をふくらますことができればおもしろい内容になるのではないかという意見が多く出ました。例えばトポロジー(位相幾何学)を用いた解釈、西洋の食べ物であるドーナツが日本にもたらされた歴史、ドーナツに関連した文化的な交流、ドーナツの原料である小麦の輸入に関する経済問題などの話へと広げていく発展案が挙げられました。

次に問題点として、この案では各章で専門の異なる教員がそれぞれどのようにドーナツを穴だけ残して食べるかという問題について回答する構成となっているのですが、回答が屁理屈の域を出ないものになる可能性があることや、専門の異なる教員の回答がただ文理の違いや定義の問題の差異になってしまう点が挙げられ、各章が異なる教員によって執筆されるために分量や文章スタイルならびに文章の完成度の統一が困難であることが危惧されました。また、補足資料に記載されている執筆者・内容・分量・文章スタイルの具体性が欠けていて、どのような本を完成させようとしているのか想像しにくいという意見も出されました。

「教授(オレ)、本気だします」について、まず、教授が教授の添削をするという発想は独特だが、正解を1つに決めてしまうという構図は様々な答えがあってよしとする大学の考えと離れているため、大学出版会からの出版物としてふさわしくないのではないかという指摘がありました。また、途中の回答ではなく、答えに注目しがちになるという雑学本が持つ性質に立った上で、添削部分を読み物として充実させる必要性があるとの意見が出ました。また、この案では各章について、問題提起・学生の回答・教員の回答・添削・学生と教員の回答についての講評という流れで構成されているため、本の内容の善し悪しが書き手の力量に大きく左右されるという問題点が指摘され、専門性の違いに見える面白みや正解のない問いに対して独自の視点で切り込み、伝えることのできる力量を持つ書き手の確保が難しいことについても言及されました。加えて、「大学教員へのイメージを変えたい」というこの案の目的に対して、添削という形が果たして適しているのかと疑問の声も上がりました。

最終的に「ドーナツを穴だけ残して食べる方法」を軸にブラッシュアップを重ね、次回の出版委員会(2013年3月頃開催予定)にて再審議することになりました。目下、企画の改善、執筆教員への原稿依頼や執筆内容の具体化、装丁ならびに販売戦略の計画と、各所への宣伝広報とを並行して進めています。

3月の出版委員会を通過すれば、企画は書籍化に向け本格的に動き出します。その後は有志を中心として、2013年12月頃出版(予定)を目標に、各書店への営業はじめ、書籍販売イベントの企画運営などを進めていく予定です。

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